

名だたる作家は全て文章が上手くて、日記、風景描写をお手のもの、というわけではありませんが、旅日記を読むことは、非常に楽しい事です。話のうまい人の話は面白くてためになります。
内田百閒「第一阿房列車」(新潮文庫)
何処にも行くところが無いから列車に乗ろう。内田百閒が友人につれられるままに列車に乗り、そのまま列車で帰ってくる。何も起こらない旅がこれ程面白いのは内田百閒だから。天才の旅行日記。「第二阿房列車」「第三阿房列車」と続編があります。
車谷長吉「世界一周恐怖航海記」(文春文庫)
細君に脅されて小説で稼いだ金銭で世界一周のクルーズに出かける。一日中図書館に籠って読書し続けたりする作家の姿がユーモアを感じる。いつも恐怖に駆られている作家の面白すぎる日常をこえた日記。
町田康「東京飄然」(中公文庫)
関西出身のパンク歌手、町田康が東京の街を彷徨する。食べたい焼き鳥を探して、其ればかり考える町田康の独白は面白い。誰も見たことのない東京の姿を幻視する作家の日常風景。
太宰治「津軽」(新潮文庫)
育ての親に会いに、故郷の津軽に帰郷する。この最後のシーンは実は太宰治の作り話という話があります。ユーモリスト、太宰治の真実のリアルフィクション旅日記。
北杜夫「どくとるマンボウ航海記」(新潮文庫)
ドクトルでもある作家、キタ・マンボウ・モリオ氏が船医としての船旅を日記にした作品。デビュー作「幽霊」とともに愛される北杜夫の名エッセイです。
高橋源一郎「競馬漂流記 では、また、世界のどこかの観客席で」(集英社文庫)
高橋源一郎の競馬をめぐる冒険。世界中の競馬場を見て、賭けて、そして人に出会う。著者独特の感性で競馬イコール文学の世界とリンクする世界観が魅力です。高橋アンド競馬ファンは楽しめると思います。
競馬漂流記 では、また、世界のどこかの観客席で (集英社文庫)
澁澤龍彦「滞欧日記」(河出文庫)
書斎のディレッタント、澁澤龍彦がついにヨーロッパに旅立った。この旅行記が出版される前に亡くなったために作品としては出ていなかったが、メモをもとにいて巖谷圀士が編集した本です。新しい澁澤の世界が楽しめるかもしれません。
金子光晴「マレー蘭印紀行」(中公文庫)
漂流する詩人、金子光晴の眼力が光る逸品です。この作品以外のも「ねむれ巴里」「どくろ杯」「西ひがし」と数々の国を旅行した作品が残っています。すごい。
武田百合子「富士日記」(中公文庫)上・中・下巻
作家、武田泰淳と結婚した女、武田百合子。武田百合子が見た武田泰淳の精神病院を訪問する生活。天才、武田百合子の言葉が爆発する名品です。この作家の作品はどれをよんでもすごいのです。
林芙美子「放浪記」(新潮文庫)
放浪の人、林芙美子のアルバイト生活。一冊の本を袂に、色々な仕事を渡り歩きながら、文学の夢を追う作家の日常を描いた作品。この作品が世に認められて、文壇に華々しくデビューした。
今回は作家が自らの、また、想像の旅行体験をもとに作り出した目くるめく世界。新しい世界を覗くのに本当の旅に出る必要はありません。忙しい現代人には書物を紐解くこそ、世界を知る機会になります。

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