

アパートやマンションの退去時に支払う精算金額が思いのほか高額で驚かれた経験はありませんか?新生活を気持ち良くスタートしたかったのに、敷金の返金どころか、持ち出しが必要になってしまった、という声をよく耳にします。
がっかりしないでください。その精算内容、よく見るとあなたが支払う必要のない項目が含まれているかもしれません。本稿では敷金を満額返済してもらうための10ステップをご紹介したいと思います。ポイントは「退去時の修繕項目が借主の故意であったか」です。
01.敷金とは借主が賃主に預ける担保金と考える
Money Hand Holding Bankroll Girls February 08, 20117 / stevendepolo
まずは敷金について知ることから始めましょう。
敷金とは、借主が賃主に預ける担保金をイメージすると良いです。マンションやアパートの賃貸契約をするときに支払います。敷金には次のような役割があります。
・家賃を滞納したときの保険金
・退去時に部屋原状回復するための修繕費
賃貸契約時には敷金のほか、礼金を支払うこともあります。
礼金は貸主へのお礼金としての役割があります。敷金とは異なり、返還されることはありません。
西日本では保証金・敷引きと呼ぶ
東日本と西日本は賃貸契約の慣習が異なり、東日本では「敷金・礼金」、西日本では「保証金・敷引き」と呼びます。地域の異なる遠方へ引越しの際は頭に留めておくと良いでしょう。
西日本では賃貸契約の際、保証金を支払い、退去時には保証金から敷引きと原状回復費用を差し引きした金額が返還されます。敷引きの役割は敷金と同じく、家賃滞納時の保証金や退去時に原状回復するための修繕費用です。
02.退去時の借主負担となる項目を知る
退去時には敷金から原状回復のための修繕費用を差し引いた金額が戻ってくることがおわかりいただけたと思います。
それでは原状回復に当てはまるのはどんな項目か見ていきましょう。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば次のような解説がされています。
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
つまり、修繕費用に含まれる「修理費」「掃除費」は通常の生活を送っていれば、借主(つまり、あなた)が支払う義務は生じません。このことは裁判の結果でも明らかになっています。
03.自然劣化や通常生活を送る上での損傷は借主の負担とならない可能性が高い
実際に裁判所の判決で借主が負担する必要がないと判断された実例をご紹介します。
【負担義務なし】床について
・自然光によって生じた変色
・フローリングのワックス掛け
・通常生活による陥没 ※大きな重い家具などを置いていた場合などは借主の負担となります。
【負担義務なし】天井について
・ポスターなどを貼る際に付けた画びょうの穴
・タバコのヤニなどの汚れ(軽微な場合に限る)
・経年劣化によるクロスの剥がれ
【負担義務なし】壁や柱について
・テレビや冷蔵庫などを置いたことによって生じた黒シミ
・自然光によって生じた変色、日焼け跡
・エアコン設置によって生じた壁穴
【負担義務なし】設備・備品について
・引っ越し時のカギ交換
・紫外線劣化による網戸の交換
・地震などによって破損したガラス窓
【負担義務なし】水回りについて
・キッチンやお風呂、トイレなどの消臭/消毒
・通常生活において生じた排水詰まり
・通常生活において生じた漏水
04.家具やペットによる破損は借主の負担とされる
反対に、次のような場合は故意・過失とされ、借主の負担となる可能性が高いでしょう。
【借主負担】床について
・家具などを移動したことによって生じたキズ
・タバコなどによる焦げ跡
・食べ物を放置したことによって生じたシミ
【借主負担】天井について
・タバコのヤニなどによる重度な汚れ
・キッチン天井の油汚れ
・釘、ネジの穴
【借主負担】壁や柱について
・ペットの爪とぎ跡
・エアコン排水による腐食
・タバコのヤニなどによる重度な汚れ
・クギ、ネジの穴
【借主負担】設備・備品について
・ガラス破損
・網戸の破損
・カギの紛失
・ドアの凹み
・障子紙の破れ
【借主負担】水回りについて
・お風呂の水アカ汚れ
・キッチンの油汚れ
・トイレのカビ
05.ハウスクリーニング代は借主が負担すべき?
普段から部屋を清潔に使い、ドアや窓ガラスといった備品の破損がなくても、退去時に修繕費用として「ハウスクリーニング代」を請求されることがあります。
これが曲者で、入居時の契約書には「退去時のハウスクリーニング代は借主が負担する」という特約が記されていることが多いです。その場合、貸主は「契約書に書いてあるのだからハウスクリーニング代をお支払いください」と迫ってくるでしょう。
しかし、ここであきらめるべきではありません。先ほどご紹介した国土交通省のガイドラインどおり、部屋を通常予測される範囲で使用し、清潔を保っていたならば、契約書に記されていたとしても、ハウスクリーニング代の負担をなくすことが出来る可能性があります。
借りていた部屋をキレイに使っていたにも関わらず、退去時に高額なハウスクリーニング代を請求されたときは不動産会社や大家さんに交渉をしてみましょう。交渉の仕方は次項を参照してください。
06.敷金返却交渉は賃主と直接行う
敷金返却の交渉は不動産会社ではなく、大家さんと直接行うことをおすすめします。
不動産会社にとってみれば、請求費用は多いほど良いわけですから、大家さんへの連絡を怠るといったことも考えられます。借主と貸主が直接交渉の場を持つべきです。
貸主の連絡先は入居時の契約書に書いてありますので、確認してみてください。
07.内容証明を送る
大家さんには電話やメールで連絡するのが一般的ですが、シビアな内容だけに話し合いの場を持つことが難しい場合もあります。
その際は内容証明を送ることが効果的です。内容証明とは「誰が、誰宛に、いつ、どんな内容を示したか」を郵便局が証明してくれる手紙のことです。
※内容が正しいことを証明するものではありません。
法律に基づいた行為は相手に心理的圧力を与えます。あなたの主張を相手に真摯に受け止めてもらうための効力もあるでしょう。裁判所内の郵便局から通知された内容証明はよりイニシアチブが取れるようです。
内容証明の書き方は次のページを参考にしてみてください。
08.敷金返還代行業者にお願いする
借主と貸主のあいだでトラブルを防ぐために、敷金診断士に依頼するという方法もあります。修繕費用をどちらが負担すべきか、第三者の目線で見極め、適切な敷金返還を実現させるのが敷金診断士です。
敷金診断士の依頼に当たってはもちろん費用が必要ですが、退去時の高額な費用請求を50,000円以上減額したケースもあり、借主と貸主の主張が食い違う場合には敷金診断士の協力を求めるのも手です。
09.小額訴訟も視野に入れる
小額訴訟とは、60万円以下の金銭請求に限り、原則1回で判決を行うスピーディかつ少ない費用で裁判ができる制度です。
裁判というと驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、一般の方でも簡単に手続きができるようになっているのが小額訴訟です。
このような闘い方があることを知っておくだけでも、相手への心理的影響は大きくなります。借主と貸主の主張が一方通行となっている場合は、小額訴訟を視野に入れて検討してみてください。
10.小額訴訟の手順について
小額訴訟の方法は難しくありません。次のような流れで小額訴訟は進んでいきます。
1.訴状の作成
↓↓
2.訴状を裁判所に提出
↓↓
3.審理期日の決定
↓↓
4.裁判所の書記官からの指示
↓↓
5.相手からの書類があれば受取り
↓↓
6.裁判所で審理を行う
↓↓
7.判決
訴状の作成方法や小額訴訟の詳しい手続きは下記のリンクを参考にしてください。
敷金を取り戻す最終手段! 「少額訴訟」の費用と手続き | スーモジャーナル – 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
普段からキレイに部屋を使うことが敷金満額返還のコツ
今回は敷金を満額返還してもらうための10ステップを紹介しました。
部屋を借りている以上、故意に汚したり壊したりしてしまっては修繕費を支払わなければなりません。敷金の満額返還のためには普段から行き届いたお手入れと清掃が必要です。
新生活をスタートするときは敷金のことを思い出してキレイに部屋を使っていきましょう。将来の新しい出発がきっとスムーズになるはずです。

販売店比較早見表
店舗名 |
詳細 |
キャッシュバック最高額を保証してくれます |
|
キャリア公式オンラインショップ |
|
ソフトバンクショップ, auショップ, ドコモショップ |
|